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サム・アルトマン氏寄稿(2024年7月30日、ワシントン・ポスト紙)

OPEN AIのサム・アルトマン氏がワシントン・ポスト紙に特別寄稿したとのことで、早速DeepLで和訳+ChatGPT4oで整理してみた。


AIの未来を支配するのは誰か?

 サム・アルトマン 2024730

このタイトルこそが現代の緊急課題である。人工知能(AI)の急速な進歩は、私たちがどのような世界に住むのかという戦略的選択に直面していることを意味する。これからの世界が、米国とその同盟国がグローバルなAI技術を推進し、その恩恵を広く普及させ、技術へのアクセスを開放する世界となるのか、それとも権威主義的な体制が力を増し、支配を強化するためにAIを利用する世界となるのかが問われている。

今こそ、どちらの道を選ぶべきかを決める時だ。現在、米国はAI開発でリードしているが、その主導権を将来にわたって保持することは保証されていない。権威主義的な政府は、AI技術で追いつき追い越すために莫大な資金を投入している。ロシアの独裁者ウラジーミル・プーチンは、「AI競争に勝った国が世界の支配者になる」と警告し、中国も2030年までにAI分野で世界のリーダーになることを目指している。

こうした権威主義的な体制や運動は、自国の権力を強固にするために、科学、健康、教育などの社会的利益をもたらす技術に注目している。もし彼らがAIで主導権を握れば、米国企業や他国の企業にユーザーデータの共有を強要し、その技術を利用して自国民を監視する新たな方法を開発したり、他国に対する次世代のサイバー兵器を作り出したりするだろう。

AIの第一章はすでに書かれている。ChatGPTCopilotなどのシステムは、看護師や医師が患者の面会記録を行ったり、ソフトウェアエンジニアがコード生成を行うなど、特定の領域で高度なアシスタントとして機能している。さらなる進化はすぐに続き、私たちの社会に決定的な変化をもたらすだろう。

AIの未来が、できる限り多くの人々の利益になるようにするためには、志を同じくする国々が米国主導のグローバル連合を形成し、その実現のために革新的な新戦略を策定する必要がある。米国の公共部門と技術部門は、AIの民主的ビジョンを実現するために、以下の4つの重要な取り組みを正しく行う必要がある。

第一に、アメリカのAI企業や産業界は、我々の連合が現在および将来のモデルにおいて主導権を維持するために、強固なセキュリティ対策を構築する必要がある。これには、ハッカーからの知的財産保護、例えばモデルウェイトやAIトレーニングデータを強化するためのサイバー防衛やデータセンターのセキュリティ革新が含まれる。これらの防衛策は、人間のアナリストがリスクを特定し、攻撃に対応するためにAIの力を活用することによって、より効果的になるだろう。米国政府と民間部門は協力して、これらのセキュリティ対策を迅速に開発することが求められる。

第二に、AI技術の進展や普及において、インフラ(基盤となる技術や環境)はその成功を左右する決定的な要素である。米国はブロードバンド・インフラの早期整備によってデジタル革命をリードしてきた。今後も、データセンターや発電所などの物理的インフラを大幅に強化することで、AI技術の普及を加速させる必要がある。この官民パートナーシップにより、新たな雇用も創出されるだろう。AIは新たな産業基盤の柱となり得る技術であり、その整備は国全体の利益につながる。

私たちは、人的資本への実質的な投資によって、「煉瓦とモルタル」※を補完する必要がある。次世代のAIイノベーター、研究者、エンジニアを育成することで、彼らが国の技術力を支える重要な存在となる。

※「煉瓦とモルタル」とは、米国の慣用句で「歴史と実績のある大企業」を指すのだそう。「実店舗」とか「建物」を持つことから来ているそうです。

第三に、米国はAI技術のグローバル展開に関する一貫した商業外交政策を策定しなければならない。これには、輸出規制や外国投資ルールの明確化が含まれる。例えば、どのようなチップやAIトレーニング・データを他国に提供するかを決める必要がある。オープンソースのモデルを他国の開発者が利用できるようにすることで、我々の優位性をさらに高めることができる。

第四に、AIの開発・導入に関するグローバルな規範を確立するための新しいモデルについて創造的に考える必要がある。特に、安全性に重点を置き、グローバル・サウスなどの取り残されてきた国々の役割を確保することが重要である。中国との継続的な対話を維持することも必要だ。

AIのための国際機関の設立や、各国のAI安全研究所のネットワークを結びつけることによって、民主的なAIプロトコルを遵守する国々が協力して技術力を強化することが求められる。

要するに、民主的なAIが権威主義的なAIよりもリードしているのは、米国の政治システムが研究、革新、構築の権限を与えているからである。AIの民主的ビジョンが優先されるように取り組まなければ、技術の利益を最大化しながらリスクを最小限に抑えることはできない。歴史は、主導権を握る国家と技術者が責任を持つことを教えている。

 

サム・アルトマン OpenAIの共同設立者兼CEO

ワシントン・ポスト紙特別寄稿


いかがでしたか?

ここからは個人の感想付記です。

サム・アルトマンはAIのトップになるには、専制国家との覇権争いに勝つべく、米国主体のグローバル連合と、そのための革新的戦略が必要と言っています。まぁ米国人ですから、米国主導のAIが主題ですよね。

確かに、著作権等法的規制が過ぎて、様々な制約によりAIの各種学習が捗らないと、結果的に専制国家とのAI競争に負けてしまうのは自明です。専制国家はそのような個人の権利より国が強いですから、個人の権利を規制してでも国家主導の道を進みます。そして、専制国家側は、民主国家に送り込んだ手先をして、プライバシーや著作権等当該国家在住の国民の権利を振りかざし、結果的にAI競争を妨害し、専制国家を利することをしているという見方があることも忘れてはいけません。この時、民主国家側で活動している方は、そうした背景があるとは知らず、目の前の「個人主義」や「プライバシー」や「著作権」を護るため、自らの選択肢が正しいと信じ切って活動している。他にもこうした例には枚挙にいとまがありません。これについても他の投稿で言及したいと思います。

さて、AIの民主的ビジョン実現のため、4つの行動が必要と説いてました。

1つ目は、「セキュリティ対策」。これは、新技術、新知見であるから、保秘の概念は重要であり。システムのセキュリティももちろんのこと、人的セキュリティ対策も重要なのは当然です。そして、サイバーセキュリティに際して、AI技術を活用すべきとも謳っています。これまでは、パターン認識のような形でサイバーセキュリティのツールが整備されてきましたが、アナリストの知見をもって、より高度な学習により、強化されたAIセキュリティでサイバー空間において優勢を占めるよう準備する必要があると説いています。

サイバーセキュリティについては、また別に投稿したいと思っているテーマです。そして人的セキュリティについても。

2つ目は、AI発展のためにはインフラ整備が重要であること。ついつい忘れがちであるが、AIの学習のためには、優れたディープラーニングの技法、データマイニング、学習データ準備およびアノテーション作業等といったソフト部分のみならず、CPU、GPUといった学習に用いるハードウェアや、それらを多数使用するための電力が必要である。そしてそれらをつなぎ合わせるブロードバンドネットワークも重要である。この手インフラは、投資にお金がかかりますが、必要なので購入せざるを得ません。結果として、NVIDIAの株価が上がる、ということにつながっています。

3つ目の商業外交政策は、日本も米国に学ばなければならないこと多数です。これまでも商業取引等で、何度も日米は争ってきました。半導体、車、米その他。米国は自国の利益を最大限に考えます。いや、一般的にそれぞれの国はそのように考えますし、そのための外交を繰り広げるはずなのですが。日本も更なる外交成果を獲得できますよう祈念しております。

4つ目のグローバルな規範を確立するための新しいモデルについては、まさに各国が調整中のところです。しかし、米国とEU等、民主国家でも微妙にスタンスが異なる問題でもあり、専制国家も賛同できるような規範でないと意味もない。NPT批准していない国は核装備可能とか、結果的に穴がある状態では、世界的な枠組みを作れない、作っても十分効力は発揮できないジレンマがあります。

AIにおいて、民主国家が専制国家に勝つためには、十分な裁量と適度なガバナンスが必要なので、官民とも協力して体制・態勢を整えないと、専制国家に負けてしまいますよ、という警鐘なのでは、と思ってみていました。

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